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- 埼玉県の公立高校(全日制・定時制の原則すべて)には「不登校特別選抜」という公式制度がある
- この制度を使えば、通知表(調査書)の評定を一切使わず「当日のテストと面接等」だけで合否が決まる
- 出願には「自己申告書(様式7)」の提出と中学校長の承認が必要になるため、早めの相談が大切である
- 自宅やフリースクールでの学習も通知表に反映できる国の制度もあり、子どもの状況に合わせて選択できる
「学校に行けない期間が長く、通知表に『1』や『斜線(評定なし)』があるから、もう普通の公立高校は受けられないのでしょうか」——不登校のお子様を持つ保護者の方から、毎年このような切実なご相談をいただきます。
子ども本人が「高校からは心機一転、全日制の高校に通いたい」と前を向き始めたとき、過去の内申点が壁になって諦めざるを得ないとしたら、親としてこれほど悔しいことはありません。
しかし、安心してください。埼玉県には、過去の通知表(調査書)を合否判定の資料とせず、当日の学力検査と面接などで勝負できる「不登校の生徒などを対象とした特別な選抜」が用意されています。
この記事では、埼玉県教育委員会の公式発表(令和9年度入学者選抜実施要項・Q&A)および文部科学省の最新通知をもとに、不登校の子どもが公立高校を目指すための具体的な制度と、親子で進めるべき準備について分かりやすくまとめました。
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「通知表の評定はある程度ついているけれど、欠席日数が多いことが心配」というご家庭は、まずこちらの記事をご覧ください。
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通知表を見ずに合否を決める!埼玉県の「不登校特別選抜」とは
通常の埼玉県公立高校入試(一般募集)では、「中学校3年間の通知表(調査書)」と「入試当日の5教科テスト等」を合算して合否を決めます。そのため、不登校期間があり定期テストを受けられなかった子どもは、持ち点である内申点が極端に低くなり、スタートラインの時点で大きなハンデを背負うことになってしまいます。
そのハンデをなくし、子どもの「今の学力」と「高校で学びたい意欲」を正当に評価するために設けられているのが、「不登校の生徒などを対象とした特別な選抜」です。
| 比較項目 | 通常の一般募集 | 不登校特別選抜 |
|---|---|---|
| 調査書(通知表の評定) | 中1〜中3の評定が合否判定の大きな割合を占める | 調査書を合否判定の資料としない(内申点は一切見ない) |
| 合否を決める資料 | 5教科の学力検査+調査書+面接等(実施校のみ) | 5教科の学力検査+個人面接+自己申告書(+特色検査※実施校のみ) |
| 当日のテスト問題 | 埼玉県公立高校入試の共通問題 | 一般募集の受験生とまったく同じ問題を受験する |
最大の特徴は、「調査書(内申書)を合否判定の資料として一切使わない」という点です。中1や中2の通知表がすべて「1」であっても、斜線(評価不能)であっても、この特別選抜を使えばマイナスになることは一切ありません。

対象となる高校と出願の条件|県教委の公式発表を整理
「特別な選抜ということは、一部の定時制高校や限られた高校でしか使えないのでは?」と心配される保護者の方も多いのですが、決してそうではありません。埼玉県教育委員会の公式発表をもとに、対象校と出願資格を分かりやすく整理しました。
| 確認項目 | 埼玉県教育委員会の公式ルール |
|---|---|
| 実施している高校 | 原則として、一般募集を行う全日制および定時制のすべての公立高等学校で実施される。 |
| 対象となる学年 | 今年度に中学校を「卒業見込みの子ども(現役の中学3年生)」が対象となる(※すでに中学校を卒業した過年度生は対象外)。 |
| 必要な認定・条件 | 在学している中学校の校長先生が「不登校特別選抜による出願に該当する」と認めた場合に出願できる。 |
全日制のほぼすべての公立高校に出願できる
この制度の素晴らしいところは、特定の高校だけでなく、原則として埼玉県内のすべての公立高校(全日制・定時制)が窓口を開いているという点です。子どもの学力や通いやすさ、校風に合わせて、一般の受験生と同じように志望校を選ぶことができます。
出願には「在学中学校長の承認」が必要になる
出願資格を得るためには、通っている中学校の校長先生から「この特別選抜の対象として該当する」と認めてもらう必要があります(一般的には年間30日以上の欠席が一つの目安となりますが、個別の状況を踏まえて中学校側が判断します)。
そのため、入試直前の1月になってから突然申し出るのではなく、2学期の三者面談や進路相談の段階で「不登校特別選抜での出願も視野に入れている」と担任の先生へ伝えておくことがスムーズな手続きにつながります。
合否はどう決まる?当日の試験内容と「自己申告書(様式7)」の役割
調査書(通知表)を使わない代わりに、高校側は何を見て合否を決めるのか。試験の内容と、出願時に提出する「自己申告書」の役割について解説します。
| 評価される項目 | 内容と対策のポイント |
|---|---|
| 1. 5教科の学力検査 | 国語・社会・数学・理科・英語の5教科。他の受験生と同一問題を受けるため、当日のテストでしっかり得点を取る力が最も重要になる。 |
| 2. 個人面接 | 一般募集で面接を行わない高校であっても、不登校特別選抜の志願者には必ず「個人面接」が実施され、得点化される。 |
| 3. 自己申告書(様式7) | 欠席に至った事情や、高校入学後の目標・意欲などを記入して提出する書類。面接時の大切な資料としても扱われる。 |
| 4. 特色検査(実施校のみ) | 実技や作文などの「特色検査」を実施する学科・コースを受験する場合は、同様に特色検査を受けて得点化される。 |
「自己申告書(様式7)」は子どもが前を向いていることを伝える手紙
不登校特別選抜で出願する際は、電子出願システムで「不登校特別選抜による募集」を選択した上で、中学校長を通じて「自己申告書(様式7)」を提出します。
「自己申告書」と聞くと身構えてしまいますが、決して反省文を書くものではありません。「中学校時代にどのような状況だったか」「その期間に自分なりに何を考え、どう過ごしてきたか」「この高校で何を学び、入学後にどう過ごしたいか」を高校の先生に伝えるための大切なシートです。
📄 埼玉県教育委員会「自己申告書(様式7)」の実際のフォーマット
実際にどのような記入欄があるのか、県の公式PDFから事前に確認しておくことができます。記入欄はシンプルですので、親子で一度目を通しておくと安心です。
高校の先生が知りたいのは、「過去の欠席を責めること」ではなく、「心身の体調が回復に向かっているか」「4月からこの高校に通い続けられそうか」という未来への意欲です。親子で志望校のパンフレットやホームページを見ながら、「高校に入ったらこんな部活や勉強をしてみたい」という前向きな言葉を整理しておくことが一番の対策になります。

出願前に知っておきたい!「志願先変更」の注意点と自宅学習の評価制度
最後に、出願手続きで絶対に間違えてはいけない「志願先変更のルール」と、中1・中2や中3の1〜2学期のうちに活用できる「自宅・フリースクール学習の成績反映ルール」をお伝えします。
【重要】一般募集から不登校特別選抜への「志願先変更」はできない
埼玉県の公立高校入試には、出願後に倍率を見て一度だけ受験校や募集区分を変えられる「志願先変更」の期間がありますが、不登校特別選抜には一方通行のルールがあります。
| ◯ 変更できるパターン | ✕ 変更できないパターン(要注意) |
|---|---|
|
不登校特別選抜 → 一般募集への変更は「可能」 最初に「不登校特別選抜」で出願したあと、志願先変更期間に「一般募集」へ切り替えることは認められている。 |
一般募集 → 不登校特別選抜への変更は「不可」 最初に「一般募集」で出願してしまうと、後から「不登校特別選抜」へ切り替えることは一切できない。 |
最初は一般募集で出して、倍率が高かったら不登校特別選抜に変えよう、という動き方はできません。特別選抜を利用する場合は、必ず最初の出願時点から「不登校特別選抜」を選んで出願してください。
自宅やフリースクールでの学習を「通知表」に反映できる国の新制度
また、文部科学省が令和6年8月に施行した省令改正により、「不登校の子どもが自宅(ICT教材や学校のプリント等)や教育支援センター、フリースクール等で頑張った学習の成果を、学校の判断で通知表(成績評価)に反映できる」ことが法令上で明確化されました。
さらに令和9年度からは、埼玉県の調査書から「出欠の記録」欄そのものが廃止されます。つまり、これからは以下の2つの道から、子どもにとって一番有利な方法を選ぶことができます。
- 道①:通知表が斜線や「1・2」ばかりの場合
→「不登校特別選抜」に出願し、過去の通知表をゼロにして当日点と面接で勝負する - 道②:自宅学習や別室登校・定期テスト受験で一定の通知表がついている場合
→令和9年度からは調査書に欠席日数が一切書かれないため、そのまま「一般募集」で堂々と受験する
💡 令和9年度から調査書の「出欠の記録」がなくなる詳しい仕組みはこちら
「道②」のように、定期テストや別室登校・自宅学習の課題提出などで通知表の評定がついており、一般募集で受ける場合の「欠席日数の扱い」については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ|過去の内申点にとらわれず、子どもの「進学したい」気持ちを形にする
中学校時代に教室へ通えない期間があったとしても、それによって子どもの未来や高校進学の選択肢が閉ざされることは決してありません。埼玉県の公立高校入試には、子どもの再スタートを後押しする制度がしっかりと整っています。
これから親子で一歩ずつ進めていただきたい3つのステップを整理します。
- 早めに中学校の担任の先生へ相談し、「不登校特別選抜」の出願要件に該当するか確認しておく
- 内申点を気にする必要はないため、入試当日の5教科テストで基礎問題を確実に得点する勉強に集中する
- 「高校に入ってからどんな生活を送りたいか」を親子で話し合い、自己申告書と個人面接の準備を整える
学校に行けなかった期間、子どもなりに悩み、考え、自宅で机に向かった時間は決して無駄ではありません。正しい制度の知識を味方につければ、全日制の公立高校への道は大きく開かれています。
過去の通知表や欠席日数に縛られる必要は一切ありません。子どもの「高校で新しく頑張りたい」という尊い意欲を信じ、希望あふれる春に向かって親子で力強く踏み出しましょう!



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